第42回医工学治療学会全国大会 参加報告
学会概要
学会名:第42回医工学治療学会全国大会
開催日:2026年6月14日
会場:浜松町コンベンションセンター(東京都港区)
医工学治療学会は、医療と工学の融合による課題解決をテーマとし、医療現場の実践的なニーズに基づく研究や開発事例が数多く報告される学会です。臨床現場での運用を見据えたシステム開発や業務改善に関する発表もあり、多職種が連携して議論を深める場となっています。
発表内容
「ICTを活用した透視下内視鏡関連事務処理の自動化及びタスクシフトの促進」
近年、働き方改革や専門医制度の改定などにより、医師が入力・管理を求められるシステムや事務作業は増加傾向にあります。一方で、医師が本来注力すべき診療業務に十分な時間を確保するためには、周辺業務の負担軽減が重要な課題となっています。
本発表では、透視下内視鏡診療に関連する事務処理について、RPAや院内システム開発を活用して自動化を進めるとともに、システム導入と合わせて医師以外の職種へのタスクシフトを支援した業務フロー改善の取り組みについて報告しました。
参加報告・所感
医療現場におけるシステム内製については、医療情報システムやSaMDへの該当性、関連部署との調整、保守体制の確保など、多くの点に注意を要することをこれまで報告してきました。実際に現場で業務改善に取り組まれている皆様にとっても日々実感されている課題かとと思います。
一方で、今回取り上げたような直接的な診療行為に影響しない事務処理の効率化は、比較的関係部署との調整範囲が限定されており、現場主導の改善活動を進めやすい領域です。労務管理や医事会計、各種データベース入力に関連するシステムのうち患者情報を扱わないものについては医療情報システムに該当しない場合も多く、導入や運用のハードルは比較的低いといえます。
今回ご報告した2つの事例は、いずれも業務改善を目的としたものでしたが、解決方法は異なっていました。
1例目では改善効果は期待できるものの、そのために大規模なシステム開発を行うほどではない課題に対し、RPAを活用することで少ない工数で効率化を実現しました。2例目では電子カルテ内の情報を参照する必要がありましたが、電子カルテへ直接システムを接続するシステムの製作にはセキュリティ面や費用面で懸念がありました。業務の一部のみを自動化し、医師から医師事務補助職へのタスクシフトと組み合わせた業務フロー改善によって業務負担を軽減しました。
DXは単に新しいツールを導入することではなく、業務ワークフロー全体を見直し最適化する取り組みであると考えています。また、課題によってはシステムの内製やオーダーメイド開発が最適解とは限らず、既存ツールの活用や業務分担の見直しが有効な場合もあります。今回の発表を通じて、課題に応じて適切な手段を選択することの重要性を改めて認識しました。
医工学治療学会は臨床工学技士や臨床検査技師の方も多く参加される学会となり、今回も業務改善について取り組まれていたり、起業をされていたりする多くの臨床工学技士の皆様と情報交換をさせていただきました。今後も多職種の視点での事例研究を学ばせていただき、より現場目線のサービス提供に努めて参ります。
弊社では、医療機関や研究機関におけるDX推進のご相談を承っております。システム開発そのものだけでなく、業務フローの分析や改善効果の評価、内製化の妥当性検討、既存ツールの活用方法の検討など、課題に応じたご提案を行っております。今後ともよろしくお願いいたします。